Design
省エネ志向に合わせた最適統合設計
EEDI(エネルギー効率関連の条約)の施行以降、時代は超省エネ志向に突入しました。それを受け、限界小翼面積プロペラの開発に始まり、プロペラ前後に装着される省エネ付加物まで、最高の推進効率を達成する製品を提供しています。
NAT 5000
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5000コアの大規模数値水槽
ナカシマプロペラでは5000コアという大規模なCFDシステム(数値流体解析)を採用しています。低燃費性・超省エネが求められる限界小翼面積プロペラの設計のためには、短時間でできる高精度キャビテーション予測が必要不可欠。そのため、NAT5000を用いてキャビテーション計算を実施し、高速で高性能な設計を実現しています。さらに、省エネ性を叶えるための開発課程においてもNAT5000が活躍。多くの会社が時間と費用をかけ模型試験を行う中、当社ではこの大規模なCFDを活かして、実機スケールでの省エネ効果を検証しています。
Optimum design
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ナカシマの高性能を支える「究極のカスタム設計」
100万通りの船があれば100万通りのプロペラ設計がある。プロペラ設計では、船ごとに船の種類やそれぞれの特徴を踏まえた最適な設計が必要です。そのため決して量産化することはできません。同じ船種に装着されるプロペラであっても、伴流分布が異なればキャビテーション性能に影響を与えるため、同じ形状のプロペラにはなりません。0.1%でも効率を上げるべく精密・繊細な技術が必要なのです。その「究極のカスタム設計」にこそ最高のパフォーマンスを達成するためのエッセンスが隠されており、ナカシマの高品質を支える代名詞でもあるのです。
国家プロジェクトに応じた
小翼開発とNHV技術
ナカシマプロペラでは、国土交通省のGHG(温室効果ガス)削減プロジェクトの一環として限界小翼面積NHV(ノンハブボルテックス)プロペラの共同研究を実施しました。これまでにない小翼面積化によって摩擦抵抗が軽減し、さらにNHV技術によるハブ渦回収効果により、さらなる高性能化に成功しました。限界小翼面積プロペラの効率性は計算や模型試験だけでなく、実船においてもその効果が証明され、ケミカルタンカーの実船試験でも4.5%の省エネ効果が確認されています。
チップレーキによるキャビテーション
(空洞現象)の抑制
プロペラの展開面積の減少は、キャビテーションの増加に繋がるため、小翼面積のプロペラ設計ではキャビテーションの抑制と安定化は重要なファクターでした。そこで研究に研究を重ね、翼の先端にチップレーキを付加することでキャビテーションの発生が抑えられ、エロージョンリスク(侵食リスク)の減少と変動圧力の低下を実現できることが判明。その結果、限界まで狭めた小翼面積でありながらキャビテーションの抑制性能は向上するという、相反する事象を両立することが実現したのです。
Energy saving
1%
省エネ付加物の組合せ効果、8.7%
ナカシマプロペラが開発する省エネ付加物は、それぞれを組み合わせた場合の相乗効果も考慮し開発されています。海上技術安全研究所の協力のもと実施された82BCの模型船を用いた組合わせ試験では、Neighbor DuctとUltimate Rudder Bulbの組み合わせにより省エネ効果が8.7%アップ、また、Neighbor DuctとECO-Capの組み合わせでは6.2%アップの効果が得られました。装着する省エネ付加物をセレクトし、燃料費削減による初期投資額の回収効果を具体的に提示することが可能です。
ECO-Cap
エコキャップは、プロペラの翼の根から発生した渦がキャップ端部で集中するのを防ぐよう設計されたもの。これによりキャップ後方での負圧領域の発生を抑え、キャップ後端部での抵抗を減らすことが実現し、エネルギー効率が改善されます。キャップ本体はNAB製ですがフィンはFRP製としており、薄翼による低抵抗化に成功しました。また、フィンの枚数は7枚となっており、プロペラ翼との位相をずらすことによって、異なる船速や回転数、荒天時など、様々に変動する流れにも幅広く対応できるようになりました。
Ultimate Rudder Bulb
バルブヘッドを極限(=アルティメット)までプロペラに近づけることをコンセプトとして開発したラダーバルブ。プロペラのキャップ部分がバルブヘッドの形をしており、舵側のバルブボディと合わせて一つの流線型のバルブ形状となるように配置しました。低速船から高速船まで様々な船型での模型試験を実施し、主にスラスト減少係数を改善する効果が認められ、2~6%のエネルギー効率の向上効果が得られています。
Neighbor Duct
ネイバーダクトは船尾に取り付けるダクトで、船体の側面を流れる力を利用して推力を発生することを目的に開発されました。なるべく多くの流れが利用できるよう、船体に沿わせるように縦長・楕円の形状に仕上げ、また船体側面の「隣」に配置されることからネイバーダクトと名付けました。海上安全技術研究所の協力のもと行った、82BCの模型船を使った自航試験では、ダクトを付けた場合で4.6%もの効率向上が認められています。スラスト減少係数が2.7%と大幅に向上し、ネイバーダクトによる船体側面部の流れを利用した推力の発生が、大変有効であることが確認できました。
Journal
最新の研究結果を提示
ナカシマプロペラが開発した高性能プロペラの模型試験や実船試験結果、次々と開発が進められている省エネ付加物についての成果も、技術論文にまとめご提示します。